印鑑を押したあとの印影をじっくりと眺めたことはあるでしょうか?
多くの人は押印する時に文字の上と下を確認するくらいではないでしょうか。
アタリやサグリがついている印鑑ならそれを頼りに、実印や銀行印のようにアタリやサグリがついていなければ印面を見て文字の上下を確認するくらいかと思います。
ぐるりと円形に文字が配置されている会社の実印である代表者印は別として、基本的にはタテ彫りかヨコ彫りです。
問題はヨコ彫りのとき!
もし皆さんの現在使っている銀行印がヨコ彫りならじっくりとご覧になってみてください。
気づきましたか?
文字の配列が左右逆になっているのです。
画像は藤村さんの銀行印を紙に押した時の状態です。
私たちの日常生活では文字は左から右へ進んでいきます。
ところが写真の藤村さんの銀行印は村藤になっていますね。
印鑑の世界ではヨコ彫りの場合、右から左へ文字が進んでいきます。
これで正解なんです。
印鑑屋さんが間違って彫ったわけではありません。
どうして印鑑は文字を逆方向に並べるのかというと・・・、
戦前の看板写真を本やインターネットで見たことはありますよね。
それを思い浮かべてみてください。
昔は現在とは逆向きに文字は進んでいました。
これを「右横書き」といいます。
現在でも東京の日本武道館の看板は右横書きです。
三重県伊勢市の伊勢神宮に通じる参道には誰もが知っている名物赤福の本店があります。
ここの看板も右横書きです。
「赤福」ではなく「福赤」になっています。
これらは看板の製作過程で間違ったわけではなく、わざと昔の名残(なごり)を表現しているものです。
この流れを印鑑の世界では引き継いでいるのです。
このことを知っていないと何かの機会に自分の印鑑を見て突然ビックリしちゃうわけですね。
「おい、俺の銀行印は間違って彫ってある。俺の名前はフジムラであってムラフジではない。今まで気づかなかった。どうりでお金が貯まらないはずだ!」っていうことになっちゃうのです。
ちなみにお金が溜まらないのと銀行印は関係がないのですが・・(笑)。
どうかヨコ彫りの銀行印で左右の文字が逆になっていても心配なさらないで下さいね。
私も今までに多くのお客様にヨコ彫りの銀行印を販売していますが、文字が左右逆になるということは説明しています。
お客様にへんな心配をかけないためです。
この私の説明を聞いて文字が左右逆の印鑑はどうしても馴染めないというお客様はタテ彫りで注文されます。
タテ彫りに関しては昔も今も上から下に向かって文字が進んでいくのでなんの違和感もないわけです。