それは日常生活で通称名を使っている方です。
印鑑登録の際に役所が確認するのは申請された(実印になるはずの)印鑑に彫られている文字が戸籍の名前と合っているかどうかです。
ここで通称名と役所の原簿の文字が違えば役所は「申請者と印鑑の印影は別人のもの」という判断をして申請が受理されません。
例えば鈴木花子さんという方がいたとしましょう。
この鈴木花子さんは自分の「花子」という名前が嫌いだったかもしれません。
あるいはどこかで姓名判断を受け、この画数では病気になるとか事故に遭うとか言われて悩んでいたかもしれません。
そこで鈴木花子さんは花子を華子に改名して「鈴木華子」でずっと何十年も日常生活を送ってきたとします。
しかし人生のほぼ100%が鈴木華子でも戸籍の名前は鈴木花子なのです。
そんな鈴木さんがマンションを購入するために印鑑証明書が必要になったとしましょう。
しかし彼女はまだ印鑑登録をしていなかったので印鑑証明書が発行されるわけがありません。
そこで「鈴木華子」の印鑑を持って印鑑登録に行ったわけですが役所からは登録が拒否されました。
今までの説明でどうして登録を拒否されたかはもうおわかりですよね。
役所としては申請者の鈴木さんと印鑑に彫られている鈴木華子さんは別人であって同一人物とは認められないという判断をしたからです。
裁判所で法的な手続きを経て改名が認められている場合は別ですがこのようなケースはまれです。
したがって通称鈴木華子さんが実印の印鑑登録をするときには本名の鈴木花子と彫られている印鑑が必要になります。
ここでどんなに「私は鈴木華子として人生の再起をかけて頑張ってきたか」を役所の職員に話してもダメです。
役所としては住民の身分保障をするための業務をしているのであって申請人の個人的な事情など考慮してくれません。
当店でも通称名で印鑑登録を拒否され、再度本名での実印を作成するためにご来店いただいたお客様がおられました。
お店としては通称なのか本名なのか確認できませんので、通称名をお使いの方は実印作成の時はお気をつけください。