世の中にはいろんな人がいるもんです。
長い期間ハンコ屋さんをやっていてとても残念な気持ちになったことがありました。
ある日、初老のお客様がお見えになって私に聞くのです。
実印を作成したいのだが、おたくの象牙は生きた象か?それとも死んだ象か?と尋ねられました。
私は意味がわからなかったので「もう一度お願いします」とお願いしました。
するとちょっといらだった様子で同じことを言われます。
「生きている象の象牙は白くて死んだ象の象牙は黄色い。私は白い象牙で実印を作りたい」と仰ります。
そして店内に陳列してある象牙を見て、「ここの店の象牙も死んだ象だな」と不満そう。
全身から売る気が抜けていくのを感じた一瞬でした。
どこで吹きこまれてきたのか知りませんが、象牙はもともと黄色味を帯びているものです。
あとは人間の歯と同じで、同じ白でも個体差があります。
日本で売られている実印など象牙印鑑は環境省や経済産業省ががっちり管理している象牙製品です。
政府としても(今のところ予定はないのですが)象牙の輸入が許可されるように必死です。
象は絶滅危惧種。
その保護は象の生息する国で手厚く保護され、ワシントン条約で取引が制限されています。
生きている象ということは密猟を意味するわけで、そんなものは西高蔵印章店にはありません。
象牙の美しい色、そしてその価値のわかる人だけに貴重な象牙を使った実印を作成していただきたいと思っております。
結局このお客様はなにやら捨てゼリフを残して帰っていきました。
何を言っていたのかは聞き取る気力もなかったので覚えてません。
西高蔵印章店で取扱っている象牙は経済産業省の審査を通った合法象牙のみです。
安心してお使いいただけます。
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