捨て印(捨印)とは契約書など印鑑を必要とする書類で修正事項が発生した時に備えてあらかじめ欄外などに押しておく印鑑です。
この捨て印があれば書類の記入ミスなど修正をした箇所にわざわざ訂正印を必要としません。
遠方の相手にわざわざ訂正印をもらいに行く手間が省け効率的です。
とここまでは都合の良いお話しなのですが、問題はデメリットの部分です。
この便利な捨て印の仕組みを悪用して相手を騙すこともできてしまいます。
私たちの日常生活の中で身近な例を出すと銀行などの口座振替の申込書等。
勝手に金額を変更してしまい、欄外の捨て印が押されている場所に「金額を1ヶ所訂正」と書いておけばそれで正式な書類として通ってしまうわけです。
被害に気がついてから騒いだところであとの祭り。
「契約書にはちゃんとあなたのハンコ(捨て印)があり、認めているではありませんか」で片づけられるだけ。
ほとんどの場合、悪意はない相手とは思いますが100%とは言い切れません。
したがってよほど信用のおける相手以外は捨て印は押さないほうが賢明と思われます。
たとえば、あなたの知人でお金に困っている人がいたとします。
あちこちのサラ金やヤミ金で借りまくっておりどうにも首が回らない状況に追い込まれている知人にあなたは自分の通帳と銀行印を預けるでしょうか?
その知人はあなたのお金には一切手を出さないかもしれません。
でも手を出すかもしれません。
捨て印はこれと同じくらいに危険な行為です。
「捨て印」という文字からいらなくなった実印や銀行印など印鑑をゴミ箱に捨てることと解釈している人もおられますが、決してそういう意味ではありません。
実際にはもっと恐ろしい意味を持った言葉です。
十分にご注意くださいね。
捨て印は相手にとっては書類不備があったときなどには便利です。
修正作業があっという間に出来てしまい時間の節約になります。
しかしこちら側にとっては「百害あって一利なし」のクセモノ以外なのものでもありません。
銀行等社会的に信頼のおける相手ならまだいいかもしれませんが、あまり知られていない会社や個人相手の契約書などには捨て印は押さないほうが安全です。
何か書面の内容に何か修正箇所が発生したらその時に対応すればいいだけのことです。