このページでは印鑑の材料はそのまま使い、印面だけを彫り直した場合、金額的に割に合うのか、合わないのかを見てみましょう。
まず彫り直しの方法について簡単にご説明しますね。
今までに使っていた印鑑の側面についた朱肉を大まかにふき取ります。
ただしこれをやっても長年のあいだに印材の中に浸み込んでしまった朱肉は取れません。
したがって側面についた朱肉をふき取った程度では見た目はほとんど変わりません。
今まで使っていた印鑑の印面を1~2ミリ水平に削り落してまったいらな状態にします。
これを面訂(めんてい)と呼びます。
この段階で印鑑の長さは短くなってしまうわけですが使用に差し差し支えるほどではありません。
ただし印鑑はその人の分身という考え方があって自分の身を削って「寸足らず」。
こういうことはするものではない!と言う印鑑屋さんもあります。
そこらへんは皆さんご自身で判断してくださいね。
あとは新品の材料に文字を入れていく作業と同じです。
文字のデザイン→荒彫り→仕上げ彫り
さて次に費用の面で考えてみます。
先に答えを言っちゃいますね。
彫り直しをしてトクをするのは象牙くらいです。
水牛クラスなら彫り直すだけのそれなりの理由がない限り買い換えたほうが満足できる気がします。
柘などの木材は新品価格より高くなってしまう可能性があり、何のために彫り直すのかわからない本末転倒の状態です。
というよりは柘などの木材系については強度・耐久性の問題で原則としてお受けしておりません。
印鑑の値段って実は「彫り代」部分が大半で材料そのものの価格って知れています。
それに前述の手順1の面訂という作業が入ってくるので木材のようにもともと材料価格の低いものは新品より高くなることが起きてきます。
よっぽどの彫り直しをする理由がない限りは新品を注文するほうがおトクです。
このように作成する側も手間ばかりでなおかつ印材の劣化により彫り直し不可となった場合の補償の問題もあるために、短時間で薄利多売が基本の激安通販サイトでは彫り直しはやってません。
当店では印鑑の彫り直しを承っております。
彫り直しをする印鑑をお店に持ってきてください。
印材を拝見して「彫り直し可能」か「不可能」かを判断させていただきます。
長期間経ったものはそれまでの保管状況などによりヒビが入っていたり、形が歪んでいる場合があるためです。
彫り直してお客様にお渡しすることは出来ても「近いうちにフチが欠けてしまうだろうな」と判断した場合もお断りさせていただくこともあります。
高いお金を払ってもらってすぐに欠けてしまうことがなことがあってはお客様に申し訳ないからです。
どうぞご理解の程お願い申し上げます。
なお、彫り直し料金は象牙の場合、当店の同等品新品価格の50%です。
例、15ミリ実印(フルネーム)・・・新品が22390円なので11195円
黒水牛・オランダ水牛の場合は70%です。
例、オランダ水牛15ミリ実印(フルネーム)・・・新品が10560円なので7392円
チタンや翡翠(ひすい)、水晶、虎目石などの石材は当店の設備では対処できないためお受けすることが出来ません。
(追伸)
印鑑は「一代限り」であって彫り直しは良くないということを言われるはんこ屋さんもあります。
その真意は私にはわかりません。
関連記事「印鑑は一代限り?」はこちらです。